パチンコとの出会い

あれは忘れもしない大学生の夏、講義終わりの昼過ぎ。

 

大学の友人から、

「これから、暇?」

そう、連絡が来た。

夕方にはバイトが入っているが、それまでにはまだ時間がある。

 

そのことを伝えるやいなや、

「今からパチンコ打ちに行くけど、来る?」

とのお誘いが来た。

 

私はそれまでパチンコ屋なんてものは行ったことがなかった。

何をする場所なのかは漠然とは知っていたが、特にやりたいと思ったこともない。

けれどもそのときの私は、興味本位でついていってしまった。

 

この選択がのちに自分の人生を狂わすとも知らずに……。

 

友人と一緒に、初めてのパチンコ屋へ行った。

途中経過は省くが、結果として3万円勝った。

 

翌日もその友達とパチンコを打ちに行った。また勝った。

 

打ってる最中は何が何だか分からず、隣に座っている友人の指示通りに打っていただけ。

けれども知らぬ間に勝っていた。これが俗にいうビギナーズラックか。

 

それからの私がパチンコにはまるまで、そう時間はかからなかった。

 

一人でも行くようになった。暇さえあればパチンコ屋に足を運んでいた。

完全にこの頃は依存症に陥っていたと思う。

 

友達との遊びよりパチンコを優先した。大学の講義も欠席することが多くなった。

 

しかし当然ながら勝ち続けることはできず、段々と負けが嵩んできた。

はじめの頃の勝ち分は既に消え、資金はどんどんマイナスになっていった。

それまでバイトで貯めた貯金も底をつき、新しいバイト代が入るたびそれをパチンコにつぎ込む生活が続いた。

 

パチンコ中心の生活になり、付き合いが悪くなったことで友人は離れていった。

講義に出席しなくなったので、大学の成績も極端に落ちた。

 

パチンコのせいでお金だけでなく、さまざまなものを失っていた。

しかしその過ちには、当時の私は全く気が付いていなかったのである。

 

……それから10年経った今も、私はパチンコを打っている。

パチンコに費やしたお金と時間がなければ、現状より立派な人間になれたという幻想を抱きながら。

 

(つづく)